2012年11月26日月曜日

「自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コノ 罪ノ子ナレバ」

ビブリア古書堂の事件手帖の感想的な(※ネタバレ注意)

 


 久々に読んだ活字本ということも相まってか、非常に楽しく読むことができました。実在する本を巡って起こる不思議な事情を、主人公:五浦 大輔君と、ビブリア古書堂店長:篠川 栞子さんが解決していくミステリーなお話。偶然、僕は大学の授業で文学なるものを、今年の前期のうちにとっておりまして、太宰治だの、夏目漱石だの、その生い立ちや作品を少しだけ触れる機会があったのです。そして今作では、夏目漱石の「それから」、太宰治の「晩年」など記憶に新しい作品が登場し、目を惹かれました。しかし授業でやったにも関わらず、作品の内容はほとんど覚えていませんでしてね。お恥ずかしや。とはいえ、作中では簡単なあらすじが記載されている為、過去の名作達を知らない人でも問題なくお話を楽しむことが出来ると思います。

 さて、ミステリーとは言えども、誰かが殺されるようなモノではありません。それぞれの事件にある本のテーマがあるのです。まさか「論理学入門」なんて本がこんなお話になるなんて。更にはそんな本でさえほとんど把握している栞子さんの脳内図書館。

 ミステリーというだけあって、最初に事件の提示があり、ヒントを集め、謎を解く形式を取っているのですが、栞子さんキレっキレです。それはもう歴代の名探偵達と肩を並べる程に全てを見通してしまうのです。大輔くんも、そして読者の僕も栞子さんの推理に取り残されてしまいました。とにかく本が絡むと人が変わってしまうのです。ほとんど人と目を合わせて話すこともままならない栞子さんが、大輔君にお話を聞かせるときの変わり様は非常に可愛らしいです。

 そして記事タイトルの「自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コノ 罪ノ子ナレバ」は太宰治が知り合いを励ます為に残した言葉として作中に紹介されます。人は生まれながらにして罪を背負っているのだから、前向きに生きていこう、栞子さんはそのように解釈して、大輔君もそれに納得します。けれでも、この言葉を歪んだ方向へ考えてしまう人物もまた登場してしまいます。が、そこはまぁ本編を読んでいただく感じで。

 あと、栞子さんが大輔君の信用を得るために行うあることがあるんですが、そこのやり取りがもう大変可愛らしくてたまらないのです。人見知りな彼女がどうにかして大輔君との関係を保とうとするその姿にはほっこりしてしまいましたね。

 とにかく、僕としては手放しでオススメできる作品です。何か読もうかななんて思ってる人はぜひ。
 

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